SLIPER・スキルラダー

達人養護教諭への道スキルラダー

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2024年5月

[3] 2024/06/07 19:06
50歳代
静岡
養護教諭
【SLIPERより】
 児童虐待は、「児童虐待の防止等に関する法律」の定義にもあるように保護者によるものであり、家庭内で起こることと思われがちですが、近年、保育所等での虐待行為が問題になったように、学校等の教育現場においても虐待は起こり得る問題です。(文部科学省による虐待の手引きも、家庭内の虐待について取り上げられています。)教員による体罰や性的な問題は、児童虐待の代表例です。
 社会全体の人権意識が高まっている傾向もあり、学校での児童虐待やマルトリートメント(子供に対する不適切な関わり)に視線が向けられることはますます多くなると思われます。このような事象があった場合は、家庭から連絡を受ける前に保護者に報告が必要でしょう。
 不適切な保育の行為、つまり、虐待等が疑われる事案として、として下記の5つを挙げています。
 ① 子ども一人一人の人格を尊重しない関わり
 ② 物事を強要するような関わり・脅迫的な言葉がけ
 ③ 罰を与える・乱暴な関わり
 ④ 子ども一人一人の育ちや家庭環境への配慮に欠ける関わり
 ⑤ 差別的な関わり
 本事例をこれに照らすと、②にあたり、身体拘束と捉えられ、身体的虐待と判断される可能性があります。しかし、物を外に投げるという行為は、教育的にも問題があり、指導の必要があります。この場合、どのように対応すべきであったかを下記のポイントで振り返ってみましょう。
 ・子供が「物を投げてやる!」という気持ちになる前にできることはなかったか
 →保健室に来た子どもたち個々の状況把握ができていなかったのではないか
 ・「投げてやる」という発言から手を掴んで止めるまでの間にできることはなかったか
 →子供の気持ちに共感を示したり、投げないでほしいことを伝えたりなど、言葉で伝えることができたのではないか
 ・手を掴んでまでも静止すべき行為であったか
 →自傷他害の恐れがないのであれば、緊急性は低いと考えられる。
 投げてしまってからじっくり指導することもできたのではないか。
 ・この事象を管理職、担任、保護者等に報告したか
 →早期の報告があれば、こちらの思いについて、保護者等の理解を得やすくなる
 ここで重要なのは、「子供がやりたいことなのか」、「大人がやらせたいと思っていることか」という視点です。本事例では、子供の思いは、ぬいぐるみを投げることではなく、養護教諭に振り向いてほしいことと思われます。ここに気づいて対応していれば予防できた問題です。
 保健室は、子供の体に触れたり、見たりする機会が多い場です。養護教諭として、子供の人権擁護の知識についても確認やアップデートの機会とできるといいですね。さらには、学校全体に問題提起し、研修などに繋げることもできるのではないでしょうか。
 【参考資料】
 こども家庭庁「保育所等における虐待等の防止及び 発生時の対応等に関するガイドライン」
 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/13e273c2/20230512_policies_hoiku_3.pdf (2025.3.30)
 文部科学省「研修教材:児童虐待防止と学校」
 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1280054.htm (2025.3.30)
[2] 2024/05/26 17:24
40歳代
新潟
養護教諭
なぜ虐待だと取られてしまったのでしょうか。もしかしたら、掴んだその手にはあざなどができてしまった、などということはないでしょうか。なかったとしてもそのように、取られてしまったということは、児童に真意が伝わってなかったということでしょうか。だとすると、手を掴んだ後、児童の反応はどうだったのでしょうか。そのまま怒って退出した、などということならば、児童が帰宅する前に保護者に電話して今日あった出来事を伝えるべきだったと思います。きっと、以前にもそのような行動があり、花瓶を投げるという発言だけでも手を掴むという行動につながったのだと思います。今からでも児童を大切にしているあなたの真意をしっかりとお伝えすべきではないでしょうか。
[1] 2024/05/07 20:17
50歳代
静岡
養護教諭
花瓶を外に投げると言う行為は他害の恐れがあり、養護教諭として止めるべき行動だと思います。そこで、止め方が問題になるのだと思います。手を掴む際に、どういう声かけをしたのかということも、大事だと思います。例えば、急に掴むのではなく、花瓶を外に投げるのは人に怪我をさせるかもしれないから、だめだよ。もし、投げようとしたら先生が体を押さえて止めるよと言っておくと良いと思います。そうであれば、保護者も説明を受けた時にあなたがとった行動に理解を示してくれる可能性が高くなると思います。私は、体に触るような行為があった場合は、その時点で、保護者に電話を入れ、事情を説明するようにしています。

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